②本誌(TCD)の狙いとスタイル改善のコツ
一般の人が実践する過酷なダイエット
ダイエットをする多くの理由は「スタイルを改善するため」。
しかしダイエットとは本来「適正体脂肪率に収めること」であり、体脂肪率が適正値を超えていればスタイルの改善にもなりますが、明確な基準もなく闇雲に体重だけを減らすダイエットでスタイルは改善するのでしょうか?
必ずしも『ダイエット=スタイルの改善』ではないのです。
栄養管理だけでダイエット
最近では低炭水化物ダイエットが話題となり、ご飯やパスタなどの(分解されて糖になる)炭水化物を極端に減らす方がいます。
確かに食事は体脂肪の増減につながりますが、専門家の指導のない食事制限では結果の出ない過酷なダイエットになります。
さらに最近では低炭水化物ダイエットが肝臓へ大きく負担を掛けるため、肝臓癌の元にもなると警鐘を鳴らしています。
エクササイズだけでダイエット
ダイエットのエクササイズと言うと、大抵の人がウォーキングやジョギング、マラソンといった有酸素運動を考えます。
脂肪は炭水化物(糖)と一定の割合で燃焼するため、有酸素運動は脂肪を燃焼するには確かに有効な手段です。
有酸素運動を始めると炭水化物(糖)と脂肪の消費が激しくなるため、食事から多くの炭水化物を求めます。
有酸素運動だけで脂肪を燃焼しても筋肉量が増えていない場合は、走り続けなければ脂肪が減少しません。
間違った方法を実行し体脂肪率が減りにくいと考えた人は、低炭水化物ダイエットと有酸素運動などのエクササイズを組み合わせ、ダイエットの罠にはまるのです。
太りやすい体質になるだけ
低炭水化物状態で有酸素運動をすると、脂肪が燃えないどころか体はエネルギーが無い飢餓状態になります。
飢餓状態の体は筋肉を分解してエネルギーへ変換し、脂肪の量は変わらずに筋肉量が減ることになります。
さらに飢餓状態が続くと肝臓はエネルギーを溜めるため、脂肪を増やそうと頑張ります。
その結果体脂肪率は跳ね上がり脂肪を溜め込みやすい体質になる。
これがリバウンドです。
ダイエットのコツは脂肪が燃えやすい体質作り
体内では肝臓を始めとする様々な器官で脂肪を燃焼しますが、その中でも増やせる部位は筋肉だけ。
仮に摂食量を変えずに筋トレにより筋肉量を増やすと、脂肪は自動的に減ることになります。
「ムキムキになったら困る」という方はよく居ますが、実際に筋肉はなかなか付かないため、筋肉がつきやすい様に食事で栄養の管理を始めます。
筋肉のつきやすい食事は脂肪の燃えやすい食事へつながり、さらに健康的な食事へとつながります。
TCDが目指す効率の良いスタイルの改善方法とは
そもそも大抵の方はスタイルを改善するためにダイエットを始めるのですが、スタイルを改善するのはダイエットだけではありません。
まず普段の姿勢を整えるだけでも見た目が変わり、歩き方を変えれば見え方が変わります。
また正しい姿勢は見た目が変わるだけではなく、腹圧が高まることで腸内環境が改善され本来の機能が戻るなど「体の正しい機能」を呼び戻すきっかけにもなります。
体本来の機能が戻ると自然とトータルコンディショニングのらせんは上昇を始めます。
組み合わせることがトータルコンディショニング
この様に「食事の栄養管理だけ」や「筋トレだけでのダイエット」は非常に難しいのですが、簡単にできる幾つかのことを組み合わせるだけで想像以上の効果が出せるのです。
組み合わせることが私の研究結果であるトータルコンディショニングであり、一つの形がTCDです。
③ダイエット以外の健康管理にも
基礎となるコンディショニングは、様々な分野に発展させる準備になります。
本誌は純粋なスポーツの基礎となるコンディショニング(体調管理)なので、体を動かしたいが何から初めて良いかわからない方、趣味で始めたウォーキングやランニングの延長や会社のメタボ対策など、ダイエット以外の健康管理にも役立ちます。
部活やサークルアスリートにも
特に強度の強い筋力トレーニングが難しい成長期でも、姿勢の改善や負荷の軽いコアトレーニングを中心とした軽いエクササイズなので、健康状態であれば誰でも実践可能!
ただ我武者羅に無我夢中に取り組むのではなく、理論的に食生活や簡単な栄養管理、普段の体調管理に触れることで、アスリートとしての意識へ変えます。
何よりも自然体の姿勢は身体の形成に重要であり、正しいトレーニング法や体調の管理法は知るのが早いほど後々のトレーニングが効果的になります。
ジムの効果を上げるために
ジムに通う前にある程度知識を付けたい方にもオススメです。
食生活の改善方法やトレーニングの基礎を知った上でジムに通えば、筋トレやクラスレッスンの効果が上がることは間違い無し!
ただ漠然とジムへ通うのではなく、効果を出すための方法を知り、値段以上にジムを活かしましょう!
体をデザインする基礎として
日本でトレーニングジムが流行りだした当初「筋トレをすることで体つきを変え、スタイルは改善できる」という意味で、「体をデザインする」という言葉も流行りました。
TCDは『コアトレーニングによる動ける体作り』がテーマの一つなので、本格的な筋力トレーニングの準備にも相当します。
食事により筋肉を付きやすくする栄養環境を整えますが、それは極端な変化ではなく「体作りのための正しい食生活」であり、栄養管理の第一歩になります。
④本誌の構成
第1章 コンディショニングの基礎
まずは「ダイエットやトレーニングをする誰もが知っていなければならない当然のこと」である、現状を体組成計で測定します。
写真は私の測定結果の一つで、「BMI、体脂肪率、筋肉量」など基本的な要素がPCやスマホに記録されます。
これら測定値と計算から目標をたてます。
次に一般的な指標から「理想の摂取カロリー量」などを割り出し、加えて具体的に生活習慣(特に食生活)を評価します。
コンディショニングとしては悪影響を与えている原因を探し、回復力を高めるなど改善を行います。
ダイエットでは太りにくく痩せやすい生活習慣へと改善することになります。
競技や目的が異なるだけで特に違いはなく、『ダイエット=コンディショニング』なのです。
第2章 体を変えるエクササイズ
「トレーニングはキツイ筋トレばかり?」なんて心配は全く不要!
第2章のテーマは『日常の動作をエクササイズに変える』であり、椅子から立ち上がる動作をスクワットに変える等生活内で活動代謝量を増やすことから始めます。
またVer.1.7への更新で大きく加筆したエクササイズは、スタイルを改善しながら筋肉量を増やし痩せやすい体質へと導きます。
正しい姿勢は体の能力を引き出す
アスリートとしてレベルが上がるほど『体本来の機能や能力を発揮するためには正しい姿勢が重要』と気づくため、自分の姿勢が気になります。
TCDのテーマの一つが効率の良いスタイルの改善であるため、最初から姿勢の改善を目指します。
☆腹横筋や腹斜筋を鍛えるエクササイズ☆
腹横筋や腹斜筋を鍛えて体幹中部の正しい姿勢を維持できるようになると、腹圧が高まることで腸内環境が改善されます。
このトレーニングは体本来の痩せる機能を回復するエクササイズになります。
☆コア・トレーニング☆
『腸腰筋のトレーニング』と『臀部のトレーニング』を合わせてコア・トレーニングとしました。
体幹下部のスタイルを改善するエクササイズで、下半身太りに有効とされています。また股関節周りの筋肉バランスを整えると体幹下部の姿勢の改善に効果があります。
コア・トレーニングはスポーツトレーニングにおいて大前提の話ですが、現状ではあまり知られていません。
第2章の内容は基礎的なトレーニングですが、知らない人にとってはパフォーマンスを急激に上げる革命的なトレーニングとなるでしょう。
実際にフットサル仲間へコア・トレーニングを紹介したところ、「急に体にキレが増し、足が動くようになった」と感想を貰いました。
腸腰筋のトレーニング(Ver.1.7から)
「もっと簡単に実践できるトレーニングを増やして欲しい」という声を頂き、Ver.1.7から追加しました。
体の深部にあるインナーマッスルの腸腰筋は、本来アウターマッスルと同様に太い筋肉です。
しかしアジアの中では機能が知られていないために、黒人に比べて1/3の太さもありません。
その為腸腰筋のトレーニングを行うと比較的簡単に筋肉量が増えて基礎代謝量が上がるため、脂肪が燃えやすくなりダイエットに最適です。
☆殿部のトレーニング☆
臀部は腸腰筋と釣り合う関係にあり、大筋群の一つであるため簡単に筋肉量を増やすことができます。
ところが正しいエクササイズが知られていないため、凝り固まることで体の障害や腰痛の物理的原因になっていたりします。
正しいエクササイズにより、臀部の正しい機能の回復を目指します。
☆簡単で効果の高いエクササイズ☆
上記の後に加えるエクササイズもウォーキングから始まり、体力測定でお馴染みの踏み台昇降や誰もが慣れ親しんでいるラジオ体操など、誰でも簡単にできるものばかり。
これら全てが痩せながら骨格を整え、本来の美しいスタイルに戻る様な相乗効果が出るように組み合わせました。
第3章 TCDの設計概念
スタイルを改善するためには第1、2章で充分ですが、興味や理解を深めたい方へ各分野の説明と補足であり、読むことで意識と効果を高める狙いもあります。
更に実践者が今まで知らなかった分野を追求できるように、本誌の先の分野となる参考書を紹介しています。
デトックスや部分やせ、更には細かいトレーニングといった目的別へ、また個人の状態や経験、年齢や性別、競技やレベル、興味のある分野へ進めてみてください。
特に部活選手やアスリートにとっては最低限の知識と考えたものであり、第4章を活かすためには欠かせない内容です。
コンディションレベル(体の状態)が上がるたびに経験のない分野へ進むことで、体質を改善するきっかけをつくり、常に変化し停滞することのない様にしましょう。
第4章 TCD・RSの実践編(おまけ)
別売りを予定していたスポーツトレーニングへ飛躍させるためのメニュー集です。
Ver.1.0では完全にスポーツトレーニングでしたが、「このままの内容だとレベルが高すぎて無関係な人が多いのでは?」とアドバイスを頂き、健康体であれば誰でも出来るレベルから部活レベルのアスリートまでが実践できる内容にまとめ直しました。
第3章で説明されているトレーニングメニュー・ルーティーンセットを繰り返すことで、自然とコンディションが上がるように設計してあります。
アスリートであれば、コンディショニングをゼロから見直せる内容になっているため、無駄の無い構成と言えるでしょう。
ただし、これらエクササイズ内容は市販されている本を多数取り入れているため、第2章までの内容を実践できた方におすすめします。
部活やサークルといった多人数の環境であれば、分担して資料をそろえると良いかもしれません。