アルゼンチンの世界ランキングは3位。
予想フォーメーション4-3-3で、メッシは中盤にも落ちると思われるため、4-1-4-1などのイメージもある。
ここまで見たところだと、メッシがボール周りの悪いポジションに顔を出して打開しているイメージ。
メッシはこの試合で、クラブと代表の合計で1000試合目、ゴールは788ゴールを挙げてきた。
オーストラリアの世界ランキングは38位。
予想フォーメーションは4-4-2で、試合を見る限り38位という印象はない。
スター選手と言える人は居ないが、堅実なディフェンスと各ポジションが安定しているため穴が無く、ミスらしいミスも少ない印象のチーム。
アルゼンチンの一方的な攻勢が予想される
両国とも決勝トーナメントへ抜けてきただけあって、ラインコントロールは最近流行りの改良型カテナチオ。
両国がラインコントロールをすると、センターサークルよりも少しだけ広い幅でボールの取り合いをすることもある。
基本的な試合展開は、ゾーンプレスと言うほどではないがライン間で攻防を繰り返しつつ、アルゼンチンが徐々に押し込んでいく。
画像では拮抗したように見えるが、偶然フィールドの中央で両国がラインコントロールをしていただけ。
略記; FW(フォワード)、MF(ミッドフィルダー)、OM(オフェンシブミッドフィールダー)、DM(ディフェンシブミッドフィールダー)、DF(ディフェンダー)、GK(ゴールキーパー)。
前半 改良型カテナチオが世界で流行して以来各国の特徴はほぼ消えた!?
改良型カテナチオとは、ラインコントロールをしながらディフェンスラインの二列がゾーンプレスを掛けること。
両国ともあまり激しいプレスではないが最近ではこの戦術が一般化したため、各国が特徴を出せない。
本来カテナチオはイタリアが最も得意とする守備戦術だったのだが、記憶の限り2005年前後からは研究され各国が使い出した。
すると特に攻撃を特徴としていた国は攻めあぐねるようになり、スペインのように異様なパスワークからポゼッションを繰り返すチームやスター選手が不在の国は、どこも似たような戦術を強いられるようになった。
・まずはカウンター。
・駄目ならドリブルとパスを合わせてポゼッションを繰り返しつつ、相手ディフェンスのラインの裏か間を狙う。
これだけである。
ドリブルが上手い選手やベッカムのようにロングパスに異様な精度を誇る選手が居ない限り、攻撃に特徴は出せないのだ。
アルゼンチンの戦術 2~5バックを併用して中央を使う
【ディフェンス】
予想では4バックだったアルゼンチンだが、基本の3バックと両サイドがWBのフォーメーションだった。
アルゼンチンだけではないが、WBのフォーメーションは両サイドのWBが上下することで3~5バックにもなり得る。
中盤でボールをキープできる場合は3バック。
相手のサイド攻撃でボール側のDFがマンツーマンに切り替えた場合は4バック。
全体で押し込まれたり相手のサイドにマンツーマンでつく場合は5バックになる。
オフェンスとディフェンスが連動しており、両WBの走る量を増やすことでボールを奪った瞬間に数的優位を作るフォーメーション。
【オフェンス-戦術メッシ】
オーストラリアが改良型カテナチオをするとアルゼンチンはボール運びから難しくなるため、両サイドをWBにして攻撃時も中央を厚くする。
改良型カテナチオの場合中盤でゾーンプレスを受けることになり、メッシをFWの中央で固定にすると待っているだけの状態になる。
そのため実際のメッシはポジションを固定せず、メッシが動いたポジションを優先させて、空いたポジションに入れ替わった選手が入る。
これを戦術メッシという。
4バックで両SBを上下させると穴が空きやすくなるが、3バックと両サイドをWBにすることで安定性も増す。
さらに中盤に下がったメッシのマークを減らすためにも有効となる戦術である。
画像の通りメッシは常にボールにかかわるように動くのだ。
攻撃時のアルゼンチンは、あまりに余裕があったのか2バックになることすらあった。
画像はCB(センターバック)の一人がDMの位置に上がり、ボール回しをする状態。
ボールタッチに余裕がありすぎて、本来誰がどこのポジションが本業なのかすら分からないレベル。
オーストラリアの戦術 押し込まれることは対策済み
【ディフェンス】
予想通りの4バック。
グループリーグのサウジアラビアほどではないが積極的なラインコントロールからFWを無力化させ、中盤でゾーンプレスを行う典型的な改良型のカテナチオ。
画像ではアルゼンチンのFWが一人だけ無力化されているものの、センターサークル付近なので難しいが赤いマーカーまでラインを上げればFW2人を無力化できる。
アルゼンチンの3バックに対して4バックでラインコントロールも低いため、中盤では数的にも不利になってしまった。
【オフェンス】
クロアチア戦でのカナダ
ちなみに右図を見てFW、MF、DFはどのようなポジションどりだと思われるだろうか?
次の画像でFW、MF、DFが分かるように黃線でつないだ。
青線のFWがアルゼンチンのディフェンスラインを押し下げ、DFが大きく開いてボール回しをさせやすくしているのだ。
また青線は分かりやすく列を作り、味方同士の位置を分かりやすくしている状態。
この後アルゼンチンのFWとMFがオーストラリアDFにプレッシャーを掛けに行ったため、オーストラリアのOMも降りていった。
この戦術はパスをつなげることができるレベルでなければ成り立たない。
後半 オーストラリアは戦術を駆使して善戦をするが…
後半はオーストラリアも3バックを基本とした両サイドWBに切り替える。
オーストラリアは前半同様ボールが低い位置ではフィールドを広く使い展開する。
しかしセンターサークル付近まで進むと、アルゼンチンはトップを1列下げてオーストラリアDF3人を無力化し、中盤でも数的優位を作り続ける。
ボールタッチの技術はアルゼンチン選手の方が圧倒的に上手いのだが、数的にも優位に立っていた。
あたかも個人技で上回っているかのように見ていたが、常に数的にも優利になるような戦術を駆使していた。
そのためオーストラリアはカウンターでしかチャンスが無く、ポゼッションからのシュートは殆ど見られることが無かった。
唯一と言えるほど押し込み放ったシュートが得点へとつながったが、2-1でアルゼンチンが勝利。
変わる各国とサッカーのイメージ
今までは組織のヨーロッパ、個人技の南米という印象であった。
カタール大会では勝ち残った国は特に『組織と個人技の融合』という印象に変わったと言える。