こうした睡眠習慣の夜型に加え、深刻な睡眠障害も増えている。

20~79歳の男女7827人を対象に行れた「不眠に関する意識と実態調査」によると、約4割に不眠症の疑いがあった。

生活の質が低下

 不眠症とは「寝付きが悪い」「夜中に何度も目が覚める」「朝早く目が覚め、ぐっすり眠った満足感がない」ことなどにより、さまざまな精神・身体症状が起き、QOL(生活の質)が低下することをいう。

こうした症状が週3日、3カ月以上続くと「不眠症」と診断される。

低下する生活の質

 同調査で不眠症の疑いがあった人は、日中のパフォーマンスがそうでない人に比べ3割以上ダウンしていた。

また、そのうち6割の人が睡眠不足などの自覚がなく、自覚があったとしても7割の人が専門医を受診していなかった。

 不眠症の原因は多様で複雑とされ、いまだにはっきりしていないが、最近「オレキシン」という神経伝達物質の影響が注目されている。

この発見者の一人、筑波大国際統合睡眠医科学研究機構機構長の柳沢正史教授は「オレキシンは脳内の覚醒系を統合しているもの」と説明する。

眠りのメカニズム

 眠りのメカニズムと関係するものとして大きく三つの要素がある。

起きていた時間に応じて必要な眠りを取り戻そうとする「睡眠恒常性」(ホメオスタシス)、夜の決まった時間になると眠くなる「体内時計リズム」、そしてオレキシンなどによる「覚醒システム」だ。

 覚醒システムは睡眠、覚醒それぞれに関わる二つの脳神経細胞のネットワークがバランスよく働くことで安眠を得られる。

通常、覚醒システムの動きが弱まり、睡眠システムが優位になると眠くなる。

この覚醒システムを統合するものとして、1996年にオレキシンが発見され、98年に公表された。

このオレキシンの作用をブロックする新しい睡眠薬が昨年11月、海外に先駆け日本で発売された。

 「不眠症は、診断そのものや、原因の特定が難しいので、悩んでいる人は自己判断せず専門医に相談することが大切です」と柳沢教授はアドバイスする。